真宗大谷派は宗祖親鸞聖人がよりどころとされた経典の一つ、『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』に出てくる「是旃陀羅(ぜせんだら)」という語が持つ差別性を課題とし、宗派をあげて学習に取り組んでおります。今年度行った教区学習会の報告をいたします。
旃陀羅(せんだら)=古代インドの身分制度「カースト制」において制度外に置かれた賤民(せんみん)階級の名称。現在制度は廃止されているが、この階級に対する差別は残っている。真宗教団ではこの語に関する説明を日本の被差別民衆と重ねて行ったため、被差別民衆に対する差別を助長することとなったという歴史がある。
註:「旃陀羅」の「旃」は『観無量寿経』では「栴」と表記されるが、一般的に使われる「旃」で統一する。
このたび、「是旃陀羅」に関する課題を学ぶ教区学習会を開催しました。この学習会は2024年に発刊された『御同朋を生きる』の編纂に関わられた4名のご講師による全4回の連続講義となっています。
第1回は2025年12月4日に宮下晴輝(みやしたせいき)氏(前教学研究所所長)、第2回は2026年1月14日に中山量純(なかやまりょうじゅん)氏(解放運動推進本部本部員)、第3回は2月4日に名和達宣(なわたつのり)氏(教学研究所所員)、第4回は3月30日に鶴見晃(つるみあきら)氏(同朋大学教授)をお招きし、それぞれご講義を頂きました。
全国水平社の創立から100年以上が経過し、その当初から東西両本願寺に対して問われ続けてきた「是旃陀羅」の課題に対して、宗門の対応は十分といえる状況では無く、私たち僧侶においてもこの問題に対する関心の薄さが、この問題を長期化させてきたのだと思います。
近年になり、あらためてこの課題に対しての問題提起を受け、私たちが体系的に学ぶためのテキストとして『御同朋を生きる』が発刊されました。当日の講義では、インドにおける身分差別の歴史、教団による差別の歴史、『観経』序分の解釈の問題などを丁寧にご講義頂きました。私自身の今までの学びの中では、目の前の差別の問題に対しての学びはありましたが、今回の学習会を通して長い差別の歴
史の中で続いてきた事が、今も現実に行われているという事実があらためて明らかになる学習会でした。
講義の中で宮下先生の言われた「この課題の着地点はない」という言葉は非常に重く、差別を受けた側の心の傷が癒える事の無い重大さを強く感じました。
以前に教区で開催された部落差別問題の学習会で、岡崎教区内には大きな被差別部落が少ないという話を聞きました。解放運動推進本部が主催する各教区の代表者協議会に参加させて頂いた際にも、岡崎教区と同様に被差別部落が少ない教区があり、この問題に関する積極的な関わりが少ないというのが現状です。
この研修会を通じて、1人でも多くの方が部落差別問題に関心を持ち、積極的な学びを続けて頂くことが願われます。

宮下晴輝氏

中山量純氏

名和達宣氏

鶴見晃氏